HOME > シンポジウム > 報告書 > 基調講演 2「テムズ川観光舟運の今日」

報告書

基調講演 2

テムズ川観光舟運の今日

インランドウォーターウェイズ副会長
デイビッド・エドワーズ・メイ

ロンドンの水路計画

 テムズ川は全長342km、源流は舟では航行できず、上流に昇降式の水門をつくり航行できるようにしています。中央では潮の干満を使い航行しており、川下のほうは貨物船などの舟が行き交っています。
 支流の多くは排水路として目に見えない状況になっています。ロンドンでは、隠れてしまった排水路を掘り起こして人々の目にふれさせようという動きがあります。ブルーリボンプランという戦略的な計画では、「水というものは本当に価値の高い、そして貴重な財産である」と言っています。水の利用に制限を設け、優先順位をつけて有効的な使い方を決めていく、という戦略です。
 貨物輸送船は、下水道、廃棄物、あと石油製品や建材を輸送しています。ここの桟橋の利用に関して今話題になっています。桟橋をより多くの船が共有できるようにしようという計画があるのですが、そうすると、大きな定期観光客船は、可能性が減るわけです。合理的に割り当てて管理しようというといろいろな意見が出てきます。

ウォーターフロントの利用

 ロンドン市内では、19世紀の後半から観光業が盛んになってきました。ウォーターフロントの再開発・再利用も、長い歴史を経て今に至ったのです。流域や川の流れを使い、有名なヘンリー・レガッタなどの伝統行事、イベントを行なっています。いろんな行事があると人々もそこに行くのですね。
 ヨーロッパ全体としては、川辺の利用には川岸の利用をしっかり考えていかなくてはいけないという流れがありますが、テムズ川でも人々が川辺を歩けるようにしていこうという計画があります。人々は川沿いの景観と静けさが最大の魅力であるといいます。人々が運河に引きつけられる理由の1つは、やはり社会的施設ですね。倉庫群はミュージアムやアパートに変えました。新しい建物をつくるだけでなく、既存のものも有効利用していきます。
 空間の利用も重要です。人々が川の流れを見てほっと息がつける場所を提供するということです。安全面では、洪水に備えるテムズバリアという防潮堰もあります。
 ドックや波止場の利用でも、舟が係留できないとオーナーは使わなくなり、インフラをつくっても結局利用されないのです。オフラインで係留の施設をつくるという考え方をいかに入れていくかも1つのポイントですね。

再開発に関わるために

 ロンドンの波止場の改革については、やはり水と街がいかに共存していくかが議論の中心になりました。再開発にはいろいろな分野の人が関与しなくてはいけない。再開発を信じる人々のネットワークができることは非常に重要であることを申し上げます。きちんとした投資をしてもらうために、説得の仕方もなかなか難しいということもありますが、政治家の方々にも水の利用の重要さについて、ぜひ理解をしていただきたいと思っています