事例紹介 1 タイ
バンコクでは人々がコミュニケーションや輸送の手段として日常的に水路を使ってきました。チャオプラヤ川はまさに都市の大動脈です。運河も水路もあり、クモの巣のような形状をとっています。約100年前、道路網の急速な発展により水路の役割は縮小し、小さなものは埋め立てられて道路やビルが建ってしまいました。現在、川や運河は交通の主なルートとしてはあまり使われませんが、チャオプラヤ川はやはり舟運の中心で、はしけや輸送手段としても使われています。
水路輸送方法にはさまざまなものがあります。例えば、観光に便利なエクスプレス・ボートや観光船、通勤客向けに川の両岸を往復するフェリーボート、川や運河の運航に重要な役割を果たすロングテイルボート、プライベート用にはディナークルーズや寝台クルーズなどです。
運河の旅では1つの川で過去と今と未来を見ることができます。古い住居だとか歴史的な建物を見られるルート、現代の世界都市になったバンコクのさまざまなランドマークを見られるルート、運河の中にお連れして、実際に川の生活を見ていただけるルートなどがあります。
有名なお祭りにもボートで行くことが可能です。ロングボートレーシングフェスティバルは、戦いに備え舟こぎの勇気と力を蓄えることを祝ったお祭りです。ロイクラトン祭りは、花やろうそく、お線香で飾ったバナナの茎でできた小型舟に乗って川をあがめるといったお祭りです。川の神から許しを請い、そして祝福を受けます。何千のボートが出て川を下りながら、タイ人に川への崇拝の気持ちを呼び起こさせてくれます。
川での船の運航に関わる組織には、水上輸送、インフラ整備、桟橋等の安全基準を満たすよう監視する海上部、観光振興を促すタイ観光局、看板設置などインフラ整備を進め、トラムツアー等の推進で河川の振興に努めるバンコクメトロポリタンアドミストレーションの3つがあります。
観光開発推進の障害として、政治・経済の影響があります。気候も重要な要素で、3ヵ月続く雨期の期間には観光客が減ります。洪水で時には水門を開けない、水質汚染、ボートの騒音など環境的な問題もあります。あとは乗船料の問題で、これは標準化していかなければいけません。
観光客の方々に舟遊びをさらに楽しんもらうために、パブリックスペースの充実、リバーサイドにプロムナードをつくったり、レストランやカフェ、自転車レーンや小さなショッピングモール、いわゆるブティックホテルや、インフォメーションセンター、文化活動の拠点の場、そういったものを展開していきたいですし、駐車場も確保し、船の桟橋もレベルアップして整備していきたいと思っています。